家事で疲れる原因|すぐ疲れる体の使い方を理学療法士が解説

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家事で疲れる。洗濯と料理と掃除をひと通り終えると、仕事の日より体が重い。座る暇もないまま、夕方にはぐったりしている。そんな相談をよく受けます。家事の疲れは、作業の量より「高さ」と「角度」で大きく変わります。この記事では、家事ですぐ疲れる原因を身体の使い方から整理し、明日から変えられる家事の形を理学療法士がお伝えします。

目次

家事の疲れは量で決まらない

家事で疲れたとき、多くの方は「今日はやることが多かったから」と量で考えます。ところが同じ量の家事でも、疲れ方は日によって、人によって大きく違います。違いを生んでいるのは、どんな高さで、どんな角度で作業したかです。

疲れるのは高さが行き来する家事

洗濯物を干す、布団を上げ下ろしする、床に置いた物を棚へ戻す。こうした家事は、床と目の高さの間を何度も行き来します。1回ごとの負担は小さくても、上半身を起こす動作が回数分だけ積み上がります。

洗濯かごを床に置いて30枚干せば、かがんで起きる動作が30回です。家事の疲れは、こなした量より「床から起き上がった回数」で決まる部分が大きいのです。

中途半端な角度で止まる家事

もうひとつは、少しだけ前に傾いた姿勢で止まる家事です。洗い物、野菜を切る、アイロンをかける。どれも深くかがむわけではないので、楽な作業に見えます。

実はこの「少しだけ前かがみ」が、背中にとって一番休めない角度です。理由は後ほど理学療法士の視点で説明します。10分の洗い物のあとに背中が張るのは、気のせいではありません。

家事ですぐ疲れる4つの原因

睡眠不足や家事の負担の偏りも疲れに関わりますが、ここでは身体の使い方の側から4つに分けて整理します。どれも毎日のことなので、自分では気づきにくいものです。

①床から持ち上げる回数が多い

洗濯かご、買い物袋、子どものおもちゃ。床に物を置き、そこから拾う流れが多いほど、上半身を起こす回数が増えます。上半身の重さは、頭と腕を含めると体重の半分を超えます。それを毎回、脚とお尻と背中で持ち上げています。

1回なら何ともありません。ただ家事の場合は、これを1日に何十回も、準備運動なしで繰り返します。夕方に太ももや背中が重いのは、この回数が原因になっていることが多いです。

②作業台が低く浅く前かがみで止まる

シンクや調理台の高さは、家を建てたときや借りたときに決まっていて、使う人の身長に合わせてあるとは限りません。台が低いと、手元に合わせて上半身を少し前に倒したまま作業することになります。

作業台の高さの目安は、立って肘を90度に曲げたとき、肘より10〜15cm下です。これより低い台で毎日洗い物をしていると、背中は毎回同じ角度で支え続けることになります。

③いつも同じ側の手でやっている

掃除機は右手、フライパンは左手、買い物袋はいつも同じ肩。利き手で作業するのは自然なことです。ただ家事は毎日続くので、同じ側の肩と体幹(たいかん・胴体)だけが毎日同じ方向に働きます。

片側の肩や背中だけが重い、という方はこの形が考えられます。掃除機をかけるときは、腕を前後に動かすたびに胴体も同じ方向へねじれています。部屋ひとつ分なら、その回数は数百回になります。

④足をそろえて立ったまま動かない

キッチンに立つとき、両足をそろえて棒立ちになっていませんか。足の位置が変わらないと、体重を支える場所も変わりません。ふくらはぎや足の裏は、休む瞬間がないまま働き続けます。

歩いているときは、左右の脚が交互に休んでいます。立ち止まって作業すると、この交代がなくなります。デスクワークの疲労回復でお伝えした座りっぱなしと同じく、立ちっぱなしも「動かないこと」が疲れの原因になります。

疲れの出どころを確かめる

4つのうちどれが強く出ているかは、家事を終えたあとの身体で見当がつきます。いつもの家事のあとに確かめてみてください。

家事のあとどこが重いか

重く感じる場所考えられる原因
太もも・お尻①床から持ち上げる回数
背中の真ん中から下②浅い前かがみで止まる
片側の肩・背中③同じ側の手で作業する
ふくらはぎ・足の裏④足を動かさずに立つ

2か所以上が重い方は、原因が重なっています。多いのは①と②の組み合わせです。洗濯と洗い物を続けて行う朝に、特に重くなります。

家の中で確かめる3つの方法

  • 肘とシンクの差を測る:シンクの前に立ち、肘を90度に曲げます。肘からシンクのふちまで20cm以上あれば、台が低すぎます
  • 洗濯物でかがむ回数を数える:次に干すとき、床まで手を伸ばした回数を数えます。20回を超えるなら、かごの位置で減らせます
  • 掃除機の手を確かめる:掃除機を反対の手に持ち替えてみます。極端にやりにくければ、片側だけで作業してきた証拠です

どれも体力ではなく、作業の条件を見ています。条件が原因なら、鍛える前に家事の形を変えるほうが早く楽になります。

理学療法士の視点|浅い前かがみ

ここからは身体の仕組みの側から3つ補足します。家事の疲れが背中や太ももに集まりやすい理由が、ここにあります。

浅い前かがみほど背中は休めません

上半身を前に倒すと、その重さを背骨に沿った筋肉が後ろから支えます。この筋肉を脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん・背骨の両側を縦に走る筋肉)といいます。前に倒すほど負担が増えそうに思えますが、実際はそう単純ではありません。

上半身を深く倒しきると、脊柱起立筋の活動はほとんど止まります。重さを筋肉ではなく、背骨の後ろの靭帯(じんたい・骨と骨をつなぐ丈夫なひも)などが受け持つようになるためです。これを屈曲弛緩現象(くっきょくしかんげんしょう)と呼びます。

反対に、少しだけ前に傾いた角度では、この受け渡しが起きません。洗い物のような浅い前かがみでは、脊柱起立筋が最初から最後まで一度も休まずに働き続けます。深くかがむ動作は一瞬で終わりますが、浅い前かがみは10分、20分と続きます。家事のあとに背中が張るのは、この時間の長さが原因です。

ただし、だから深くかがめばよい、という話ではありません。靭帯に長く重さを預けるのも別の負担になります。答えは角度を深くすることではなく、作業面を上げて上半身を起こすことです。

床から拾うときは股関節から曲げます

床の物を拾うとき、背中を丸めて手を伸ばす方と、脚の付け根から上半身を倒す方がいます。後者の使い方では、大殿筋(だいでんきん・お尻の大きな筋肉)と太ももの裏の筋肉が上半身を起こす仕事を引き受けます。

お尻と太ももの裏は、身体の中でも大きな筋肉です。同じ回数かがむなら、大きな筋肉に仕事を回したほうが疲れにくくなります。背中を丸めて拾う方は、比べると小さな背中の筋肉に回数を背負わせていることになります。

軽い物を拾うときは、片脚を後ろへ伸ばしながら上半身を倒す方法もあります。ゴルファーがカップからボールを拾う動きです。後ろに伸ばした脚がおもりになり、背中への負担を抑えながら床に手が届きます。

疲れたときほど肩に力が入ります

疲れてくると、手元の作業を早く終わらせようとして、肩をすくめたまま包丁やスポンジを握りがちです。肩が上がると首から背中にかけての筋肉まで一緒に固まり、疲れはさらに広がります。

洗い物の途中で肩が耳に近づいていたら、一度手を止めて肩を下ろします。それだけで首まわりの張り方が変わります。体の力が抜けない原因に心当たりのある方は、家事の最中にも同じ力みが起きやすいです。

そのままにするとどうなるか

家事は休みがありません。同じ高さ、同じ角度、同じ手での作業が毎日積み上がるので、使う筋肉の偏りもそのまま定着します。背中は張りやすく、お尻はあまり使われない、という状態が続きます。

疲れるから家事を後回しにし、週末にまとめて片づける方もいます。ただ、まとめるほど1回で床からかがむ回数は増えます。結果として、まとめた日の疲れが翌日まで残りやすくなります。

もうひとつは、家事が一日の運動のすべてになっている方です。家事は動いているようでいて、使う関節の範囲が狭く、息が上がるほどの動きもありません。その状態が続くと、運動するとすぐ疲れる原因でお伝えしたような、少し動いただけで疲れる身体に近づきます。

今日から変えられる家事の形

ここまでの内容から、打てる手は4つに整理できます。どれも道具を買い替えずに、明日の家事から試せるものです。

1. 洗濯かごを腰の高さに置く

洗濯かごを床から椅子や台の上に移します。これだけで、干すときのかがむ回数がほぼなくなります。洗濯機から取り出すときも、かごを洗濯機の口の高さに近づけると楽になります。

  • 干すとき:かごは物干しのすぐ横、腰の高さに置く
  • たたむとき:床ではなくテーブルの上で行う
  • 買い物袋:玄関の床に置かず、台の上へ下ろす

2. 作業面を上げるか、体を近づける

調理台が低いなら、まな板の下にもう1枚まな板や厚手のふきんを敷き、作業面を2〜3cm上げます。わずかな差ですが、上半身の傾きが変わります。洗い物はシンクにお腹を近づけ、手元を体から離さないようにします。

シンク下の扉を開け、片足を収納の縁に軽く乗せる方法も役立ちます。片足を上げると骨盤が少し後ろへ傾き、背中の反りすぎと前かがみの両方を抑えられます。ときどき足を入れ替えれば、④の棒立ちも同時に解消できます。

3. 部屋ごとに持つ手を替える

掃除機は部屋が変わるたびに持ち手を替えます。最初は反対の手がぎこちなく感じますが、数日で慣れます。買い物袋も行きと帰りで肩を替える、フライパンを振る手を替えるなど、同じ側に偏らない工夫をしてください。

4. 床の作業はまとめて片膝で行う

床拭き、引き出しの整理、子どものおもちゃの片づけ。床の高さの作業は、ほかの家事の合間に1つずつ挟まず、まとめて行います。立ったり座ったりの往復が減ります。

床の作業をするときは、かがんだまま続けずに片膝をつきます。上半身が起きた状態で手が床に届くので、背中を浅く曲げたまま止まる時間がなくなります。膝が痛む方は、クッションを敷いてください。

セルフケアで届きにくいところ

家事の形を変えても、楽にならない方がいらっしゃいます。股関節から曲げようとしても脚の付け根が硬くて曲がらず、結局背中を丸めてしまう。片膝をつく姿勢が膝や足首の硬さで取れない。この場合、工夫だけでは限界があります。

もうひとつは、どこが疲れているのか自分でも分からないケースです。全身がなんとなく重い方は、どの動作で負担が寄っているかを、動きを見ながら確かめる必要があります。浦和でパーソナルトレーニングを受けられるLIMITED浦和店では、かがむ・拾う・立ち上がるといった家事の基本動作を、実際に行っていただきながら確認します。

受診をおすすめするサイン

家事の疲れの多くは作業の条件と身体の使い方で説明がつきますが、次のような症状があるときは、先に医療機関を受診してください。

  • かがむ・持ち上げるときに、腰や脚に痛みやしびれが走る
  • 手や指にしびれがあり、物を落としやすくなった
  • 少し動いただけで息切れや動悸がする
  • 以前は平気だった家事で、急に疲れるようになった
  • 休んでも疲労感が数週間続き、気分の落ち込みや体重の変化がある

痛みやしびれは整形外科、息切れや動悸、長引く疲労感は内科が窓口になります。当店は医療機関ではありませんので、診断や治療は行えません。受診して異常が見つからなかった場合は、検査で異常なしと言われた疲れの考え方が参考になります。

LIMITED浦和店での進め方

当店では、国家資格を持つ理学療法士兼パーソナルトレーナーが最初から最後まで直接担当します。監修者が別にいて指導は別の人、という形は取っていません。

家事の疲れでご相談いただいた場合は、まず床から物を拾う動きと、洗い物の姿勢を再現していただきます。股関節がどこまで曲がるか、背中とお尻のどちらで上半身を支えているか。この2つで、疲れがどこに寄っているかが分かります。

そのうえで、硬くなっている股関節には整体で動く範囲を戻し、お尻と太ももの裏を使う運動を入れていきます。動く範囲が戻っても、使い方を身につけなければ家事の最中には元の動き方に戻るためです。キツい筋トレは行わず、軽い運動が中心です。

家事で疲れた日に運動していいのか迷う方もいらっしゃいます。その日の身体の反応で決められますので、疲れてる時は運動すべきかの見極め方も参考にしてください。買い物の行き帰りに脚が重くなる方は、歩くと疲れる原因もあわせてご覧ください。

よくある質問

家事をしていれば運動の代わりになりますか?

身体を動かしていることは確かですが、運動の代わりとしては足りない部分があります。家事は使う関節の範囲が狭く、同じ筋肉ばかりが働き、息が上がるほどの強さもほとんどありません。家事で疲れている方ほど、週に1、2回は家事とは違う動き、特にお尻や太ももの裏を使う運動を入れることをおすすめします。

家事の途中で座って休んでも楽にならないのはなぜですか?

座ると脚は休めますが、浅い前かがみで固まった背中や、上がったままの肩はそのままになりやすいためです。座る前に、両腕を上に伸ばして背中を反らす、肩を数回大きく回すなど、家事中とは反対の方向へ身体を動かしてから休むと、楽になり方が変わります。

キッチンマットや足台は役に立ちますか?

役に立ちます。クッション性のあるマットは足の裏への衝撃を和らげ、立ちっぱなしの負担を軽くします。足台は片足を乗せて立つ姿勢が取りやすくなり、体重を支える脚を入れ替えられます。ただし、どちらも作業台の低さは変えられません。背中が張る方は、作業面を上げる工夫と組み合わせてください。

まとめ

家事ですぐ疲れる原因は、家事の量だけではありません。床から持ち上げる回数が多いこと、低い作業台で浅く前かがみのまま止まること、いつも同じ側の手で作業すること、足をそろえて立ったまま動かないことの4つです。特に浅い前かがみは、背中の筋肉が一度も休めない角度です。打てる手は、洗濯かごを腰の高さに置くこと、作業面を上げて体を近づけること、持つ手を替えること、床の作業をまとめて片膝で行うことの4つになります。

股関節が硬くて背中で曲げてしまう、どこが疲れているか分からないといった場合は、身体の側を整える必要があります。浦和のパーソナルジムLIMITED浦和店では、家事の動きを実際に見てから進め方を決めます。体験トレーニングで、負担がどこに寄っているかを確かめるところから始めてみてください。

体験トレーニングのご案内

LIMITED浦和店では、国家資格を持つ理学療法士があなたの身体を直接評価し、整体とトレーニングを組み合わせて不調の根本改善をサポートします。JR浦和駅から徒歩5分・専用駐車場あり。運動が苦手な方も歓迎です。

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お電話でのお問い合わせ:080-1216-7723(営業 9:00〜21:00・不定休)
※体験にお越しいただいても、無理にご契約いただくことはありません。

この記事の執筆・監修者

本記事は、LIMITED総代表の飯塚勇人(理学療法士/株式会社ゼノフィット)が
執筆・監修しています。

  • 氏名:飯塚勇人(いいづか はやと)
  • 資格:理学療法士(国家資格)
  • 役職:LIMITED総代表
  • 所属:株式会社ゼノフィット
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