運動するとすぐ疲れる。少し動いただけで息が上がり、運動後はだるくなって翌日まで重さが残る。運動してるのに疲れやすいままで、続ける気力が湧かない。浦和店にも、こうしたご相談を多くいただきます。多くの記事は栄養や入浴、睡眠といった「回復の仕方」で終わります。ですが実際に先に変わるのは、運動そのもののやり方です。この記事では運動すると疲れる理由を4つに整理し、疲れが出るタイミングから自分に当てはまるものを見分ける方法を理学療法士の視点でお伝えします。
運動で疲れるのは普通です
運動した日の夜に体が重い。これは異常ではありません。筋肉に負荷がかかれば、一時的に出せる力は落ちます。問題になるのは、その疲れがどのくらい強く、どのくらい長く残るかです。
想定内の疲れと、長引く疲れ
- 当日の夜に軽い張りがあり、翌朝には軽くなっている → 想定内
- 翌日に軽い筋肉痛が出るが、日常生活は普通に送れる → 想定内
- 翌々日まで重さが残る、階段や着替えがつらい → 出し方が合っていない
- 運動した週は毎回、仕事に支障が出る → 内容の見直しが必要
疲れたかどうかではなく、何日で戻るかで見てください。ここが判断の物差しになります。なお、運動とは関係なく疲れが抜けない状態が続いているなら、寝ても疲れが取れない3つの原因もあわせてご覧ください。
疲れが長引く4つの理由
現場で多いのは次の4つです。栄養や睡眠より前に、まずここを見ます。
| 理由 | よく出るサイン | 先に手を付けること |
|---|---|---|
| ①強度が今の体力に合っていない | 運動の最中に動かせなくなる | 回数ではなく1回の負担を下げる |
| ②下ろす動作に負担が集中している | 翌日から翌々日に痛みが出る | 下ろす速度を上げる |
| ③力むときに息を止めている | 短時間で頭が重い・のぼせる | 吐きながら力を出す |
| ④動いた後に完全に止まっている | 帰宅後の夜に一気に重くなる | 帰り道を少し長く歩く |
①強度が今の体力に合っていない
いちばん多い理由です。「これくらいはできるはず」という基準が、数年前の自分のまま止まっている。運動から離れていた期間が長い方ほど、最初の1回を高く設定しがちです。
目安は、その種目を終えたときにあと2〜3回はできそうという余力が残っているかどうか。限界まで追い込む必要はありません。
②下ろす動作に負担が集中している
スクワットでしゃがむ、ダンベルを下ろす、階段を下りる。いずれも筋肉が引き伸ばされながら力を出す場面です。この使い方は回数が少なくても負担が大きく、翌日以降に残りやすい特徴があります。理由は次の章で説明します。
③力むときに息を止めている
重いものを持ち上げる瞬間、息を止めていませんか。息を止めて力むと、胸とお腹の中の圧が上がり、血圧が急に変動します。頭が重い、のぼせる、短時間でどっと疲れるという方は、ここが関わっていることが少なくありません。
運動中に限らず、日中ずっと力が抜けない状態が続いている方は、体の力が抜けない原因と3タイプもご覧ください。
④動いた後に完全に止まっている
運動が終わった瞬間に座り込み、そのまま車や電車で帰る。動きが急に止まると血のめぐりも落ち、体が重く感じやすくなります。動いた後こそ、ゆっくりで構わないので動き続けたほうが楽になる方が多くいらっしゃいます。
疲れの出る時間で見分ける
4つのどれに当てはまるかを知るには、疲れがいつ出るかを思い出すのがいちばん早い方法です。
運動している最中に出る
種目の途中で動かせなくなる、息が上がって続かない。この場合は①の強度設定です。回数を削るのではなく、1回あたりの負担を下げてください。息が先に上がるのか、脚が先に売り切れるのか。この切り分けは階段で息切れする原因|体力を3つに分けて解説で詳しく書いています。
始めて数分だけがきつい
ここは分けて考えてください。歩き始めや走り始めの数分がいちばん苦しく、そこを越えると楽になる。この形なら、体力そのものより「立ち上がりの遅れ」が主な原因です。
動き出した瞬間、筋肉が必要とする酸素の量は一気に増えます。ところが心臓の拍動が上がり、血液が筋肉へ配られるまでには数分かかります。この需要と供給のずれを、体は一時的に別の仕組みで埋めて走ります。開始直後がいちばん苦しいのはこのためです。数分たって供給が追いつくと、同じ速さでも楽になります。
つまり「運動を始めてすぐ疲れる」の多くは、体力不足ではなく立ち上げの段取りの問題です。本番の前に3分ほどゆっくり歩いて、先に心拍を上げておく。それだけで最初の数分の苦しさは変わります。逆に、数分を越えても楽にならず最後まで苦しいままなら、そちらは強度設定か体力側の話です。
その日の夜に出る
運動中は平気だったのに、帰宅後にどっと来る。③の息止めか、④の止まり方が関わりやすいタイミングです。頭が重い、眠いのに寝つけないという感覚をともなうことがあります。
翌日以降に出る
翌日か翌々日に、痛みや重さのピークが来る。これは②の下ろす動作によるものが中心です。休み方ではなく、運動の中身そのものを変えるサインだと考えてください。
理学療法士の視点|疲れの正体は乳酸ではありません
乳酸は疲れの原因ではありません
「乳酸が溜まるから疲れる」という説明をよく見かけます。ですが乳酸(にゅうさん・糖をエネルギーに変える途中でできる物質)は、疲労を起こす老廃物ではありません。心臓や別の筋肉が、エネルギー源として使い直します。
運動中に増えるのは事実です。ただし運動をやめれば、30分から1時間ほどで元の水準へ戻ります。つまり翌日のだるさを乳酸で説明することはできません。その頃にはもう残っていないからです。ここを取り違えると、対策が「流す」ことだけに寄ってしまいます。
翌日に残る疲れは下ろす動作から来ます
翌日から翌々日にピークが来る痛みは、遅発性筋痛(ちはつせいきんつう)と呼ばれます。これが起きやすいのは伸張性収縮(しんちょうせいしゅうしゅく・筋肉が引き伸ばされながらブレーキをかける使い方)のときです。
階段を下りる、椅子にゆっくり座る、ダンベルを下ろす。どれも持ち上げるより楽に感じますが、筋肉の中で起きていることは逆です。少ない力で大きな負荷を受け止めるため、筋線維に細かい傷がつきやすくなります。
だからこそ、下ろす速度を上げるだけで翌日の残り方が変わります。同じ種目・同じ回数でも、ここはご自身で調整できる部分です。上げるときにしっかり力を使い、下ろすときは支えを残しつつ速めに。当店で最初にお伝えすることの多い調整です。
筋肉より先に神経が疲れることもあります
疲れには2つの入口があります。ひとつは筋肉そのものが出す力が落ちる末梢性(まっしょうせい)の疲れ。もうひとつは脳から筋肉への指令が弱くなる中枢性(ちゅうすうせい)の疲れです。
力む、息を止める、緊張したまま動く。こうした場面が続くと、筋肉に余力があっても中枢性の疲れが先に来ます。「体はまだ動くのに、やる気が出ない」という感覚はこちらです。栄養や休養を足すより、動き方の緊張を落とすほうが早く変わります。
運動しているのに疲れやすい
運動を習慣にしているのに、日常の疲れやすさが変わらない。このご相談も多くいただきます。よく見かける説明は、やりすぎ・栄養不足・睡眠不足の3つです。どれも当てはまることはあります。ただ、現場で先に確認するのは別の3点です。
鍛えている力と減っている力がずれている
体は、繰り返し使った力だけが伸びます。ここが見落とされやすい点です。
10回で限界がくるスクワットが伸ばすのは、短い時間に大きな力を出す能力です。一方、あなたが1日で削られているのは、立つ・座る姿勢を長く保ち続ける力かもしれません。軽い力を長く出し続ける能力です。前者を鍛えても、後者は自動的にはついてきません。
週2回ジムで重さを追いかけているのに日常が楽にならない方は、ここがずれていることが少なくありません。重さを上げることが目的なら正しい進め方ですが、疲れやすさを変えることが目的なら、狙う力が違います。
対策はメニューの入れ替えではなく、1種目だけ足すことです。壁に背中をつけて膝を軽く曲げたまま30秒、椅子から立つ動作を続けて15回。どちらも軽い負荷を長く続ける種類の運動です。
運動が追加の消耗になっている
週に1回、限界まで追い込む。回復に3日かかる。すると1週間のうち3日は回復に充てられ、日常に回せる余力がその分だけ減ります。運動した分だけ楽になるはずが、かえって平日が重くなる。この形です。
| 組み立て方 | 1回の刺激 | 戻るまで | 日常の余力 |
|---|---|---|---|
| 週1回・限界まで | 大きい | 2〜3日 | 減りやすい |
| 週2〜3回・余力を残す | 小さい | 翌日まで | 保ちやすい |
筋肉を大きくしたい方は前者が向きます。ですが疲れやすさを変えたい方には後者が合うことが多くあります。同じ週の総量でも、分け方で日常の感じ方が変わります。
変化が出る速さを取り違えている
呼吸の使い方や下ろす速度を変えたことによる楽さは、その週のうちに感じる方が多くいらっしゃいます。一方、体力そのものが上がるには数週間から数か月かかります。この2つは速さが違います。
2〜3週間で「効かない」と判断してやめてしまうと、いちばん変わる手前で止まることになります。判断の材料としておすすめなのは、同じ種目を同じ強度でこなしたときに翌日どのくらい残ったかを、ひとことだけ残しておくことです。体力側の変化は、その日のきつさより翌日の戻り方に先に出ます。
なお、量を落としても回復せず、気力や日中の集中まで落ちている状態が続く場合は、運動のやりすぎによる不調も考えられます。まず運動量を減らし、それでも続くようなら医療機関にご相談ください。
そのままにするとどうなるか
運動のたびに強い疲れが出ると、続けること自体が難しくなります。ここがいちばんの損失です。
- 運動が続かず、体力がさらに落ちていく
- 疲れが積み上がり、睡眠の質にも影響しやすい
- 運動はつらいものという記憶が残り、再開しにくくなる
とくに睡眠との関係は見落とされがちです。強すぎる運動を夜に行うと、寝つきに影響が出る方もいらっしゃいます。運動と眠りの組み立て方は睡眠の質を上げる運動|眠りが浅い3タイプ別にまとめています。
運動側で変えられる3か所
回復のための工夫を足す前に、運動そのものを3か所だけ変えてみてください。今日から試せます。
1. 下ろす速度を上げる
しゃがむ、下ろす、階段を下りる。この局面を丁寧にやりすぎている方が多くいらっしゃいます。支えは残したまま、2秒かけていたところを1秒に。翌日の残り方がいちばん変わりやすい調整です。
2. 息を吐きながら力を出す
力を出す瞬間に息を吐きます。長く吐く必要はなく、「フッ」と短くで構いません。息を止めない習慣がつくと、同じ強度でも疲れ方が変わってきます。
3. 翌日の残り方で次回を決める
強度は数字より、翌日の体で決めるほうが確実です。
- 翌朝すでに軽い → 次回は少し上げてよい
- 翌日に軽い張りがあり、翌々日には消えている → ちょうどよい
- 翌々日まで残る → 次回は量を2〜3割減らす
運動しない日の過ごし方も効きます。完全に休むより軽く動くほうが楽になる方が多くいらっしゃいます。1日の中での組み立てはデスクワークの疲労回復|3つの時間帯が参考になります。
セルフケアで届きにくいところ
ご自身で難しいのは、強度の設定と動き方の癖の2つです。
強度は「つらい」という感覚だけでは決められません。体力のどこが足りないかによって、同じメニューでも負担のかかる場所が変わるためです。動き方の癖はさらに見えにくく、硬くて動かない関節を別の場所が肩代わりしていると、そこだけ先に疲れます。鏡には映らない部分です。
浦和でパーソナルトレーニングを受けられるLIMITED浦和店では、この2つをその場で確認しながら設定しています。
受診をおすすめするサイン
次のような場合は、運動の調整より先に医療機関へご相談ください。
- 安静にしていても強い倦怠感が数週間続いている
- 発熱や体重の減少をともなう
- 運動中や運動後に胸の痛み、強い息切れ、動悸がある
- 運動後に尿の色が極端に濃くなる、強い筋肉痛と脱力が同時に出る
- 手足のしびれや、力が入らない感覚がある
当店は医療機関ではなく、診断や治療は行えません。上記に当てはまる場合は内科や整形外科を受診し、そのうえで運動について相談していただくのが安全です。
LIMITED浦和店での進め方
当店は疲労・不調改善を専門にしているパーソナルジムです。国家資格を持つ理学療法士が、監修という立場ではなく、その場で直接マンツーマンで指導します。
初回は評価から始めます。関節がどこまで動くか、どの動きを別の場所が肩代わりしているか、呼吸が止まる場面はどこか。そのうえで強度と種目を決めます。キツい筋トレを行うことはなく、軽い運動が中心です。
硬さが強い部分には整体で先に動く範囲を広げ、そのうえでトレーニングを行います。順番を変えるだけで、同じ運動でも疲れ方が変わることがあります。
よくある質問
運動後にプロテインを飲めば疲れは残りませんか?
栄養は回復の材料として大切ですが、それだけで翌日の残り方が決まるわけではありません。翌日以降に強く残るタイプの疲れは、下ろす動作の負担が主な要因です。材料をそろえることより先に、運動の中身を見直すほうが変化は早く出ます。
疲れている日は運動を休んだほうがいいですか?
強い痛みや発熱がある日は休んでください。それ以外の「なんとなく重い」程度であれば、軽く動くほうが楽になる方が多くいらっしゃいます。強度を半分にして時間を短くする、歩くだけにする。完全に止めるか全力かの二択にしないことが、続けるうえでの要点です。
どのくらいで疲れにくくなりますか?
個人差が大きく、お約束はできません。傾向として、息の使い方や下ろす速度を変えたことによる違いは、その週のうちに感じる方が多くいらっしゃいます。一方、体力そのものが上がるには数週間から数か月かかります。週1〜2回の頻度を保つことをおすすめしています。
運動を続けているのに疲れやすいのは、やり方が違うのでしょうか?
間違いとは限りません。多いのは、鍛えている力と日常で減っている力がずれている場合です。重い負荷を数回こなす運動は、短時間に大きな力を出す能力を伸ばします。一方、日常で削られているのは姿勢を長く保つ力であることが少なくありません。軽い負荷を長く続ける種目を1つ足すだけでも、感じ方が変わる方がいらっしゃいます。
運動を始めて数分で苦しくなります。体力がないのでしょうか?
数分を越えると楽になるなら、体力よりも立ち上がりの遅れが主な原因です。動き出した直後は筋肉が必要とする酸素が急に増えますが、供給が追いつくまでに数分かかります。本番の前に3分ほどゆっくり歩いておくと、最初の苦しさは軽くなります。最後まで苦しいままの場合は、強度設定か体力側の話になります。
まとめ
運動すると疲れる理由は、栄養や睡眠より先に運動の中身にあることがほとんどです。強度、下ろす速度、呼吸、動いた後の過ごし方。この4つを見てください。見分け方は、疲れがいつ出るかです。運動中なら強度、始めて数分だけなら立ち上がりの遅れ、その日の夜なら呼吸と止まり方、翌日以降なら下ろす動作。運動を続けているのに疲れやすいままの方は、鍛えている力と日常で減っている力がずれていないかを見てください。乳酸を流すことに時間を使う前に、出し方を変えるほうが早く変わります。
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この記事の執筆・監修者
本記事は、LIMITED総代表の飯塚勇人(理学療法士/株式会社ゼノフィット)が
執筆・監修しています。
- 氏名:飯塚勇人(いいづか はやと)
- 資格:理学療法士(国家資格)
- 役職:LIMITED総代表
- 所属:株式会社ゼノフィット

