寒いと疲れるのはなぜか、という相談が秋の終わりから増えてきます。同じ仕事、同じ通勤なのに、冬は夕方の疲れ方が違う。外から帰ると首や背中がこわばっている。冬に疲れやすい理由は、体温を作るエネルギーだけではありません。この記事では、寒い日に疲れる原因を身体の使い方から3つに分け、外出前にできる対策を理学療法士がお伝えします。
寒いと疲れるのはなぜか
寒い日に疲れる理由として、よく挙がるのは「体温を保つためにエネルギーを使うから」という説明です。間違いではありません。ただ、暖房の効いた室内で過ごす時間が長い生活では、それだけで夕方の疲れを説明するのは難しいです。
疲れているのは寒さに身構えた時間
外に出て冷たい風に当たると、多くの方は肩をすくめ、腕を体に寄せ、背中を少し丸めます。体の表面積を小さくして、熱を逃がさないための自然な反応です。
問題は、この姿勢が駅に着くまで、信号を待つ間、帰り道まで続くことです。寒い日の疲れは、寒さそのものより「身構えていた時間の長さ」で決まる部分が大きいと当店では考えています。
室内に入っても身構えは残ります
暖かい室内に入っても、すくめた肩はすぐには下がりません。席に着いてしばらくしてから、肩が耳に近づいたままだったと気づく方がほとんどです。外と中を何度も行き来する日は、この身構えが一日に何回も繰り返されます。
寒い日に疲れる3つの原因
日照時間の短さや睡眠の変化も冬の疲れに関わりますが、ここでは身体の側から3つに分けて整理します。どれか1つではなく、重なって出ている方が多いです。
①縮こまる姿勢で固まる
寒さを感じると、震えが始まる前の段階から全身の筋肉の緊張が少しずつ高まります。これは熱を作るための準備で、自分の意思とは関係なく起こります。そこに肩をすくめる、背中を丸めるといった姿勢が加わります。
首の付け根から肩、背中の上のほうにかけての筋肉は、この姿勢を作るために働き続けます。外にいた時間が30分でも、帰宅後に首や背中が重いのはこのためです。
②冷えた筋肉のまま動き出す
冬の朝、家を出て最初の階段がいつもより重いと感じたことはありませんか。筋肉は温度が下がると、縮むスピードが落ち、動きに粘りが出ます。同じ動作をするのに、普段より多くの力を使うことになります。
朝の通勤は、冷えた筋肉で歩く、階段を上る、重い荷物を持つ、を一気にこなす時間帯です。体が温まる前に一日の大きな動作の多くを済ませてしまうので、午前中のうちに脚が疲れてしまいます。
③着込んだ服が動きを止める
寒さ対策の厚着も、疲れの原因になります。重いコートは肩にぶら下がり、何枚も重ねた服は肩や脚の付け根の動きを邪魔します。腕が振りにくくなり、歩幅も小さくなります。
重ね着をして歩くと、同じ重さのおもりを胴体に着けて歩くより消費するエネルギーが大きくなる、という研究があります。服の重さだけでなく、関節が曲げ伸ばしするたびに服の抵抗を受けるためです。冬に歩くと疲れやすい方は、この影響が考えられます。
疲れの出どころを確かめる
3つのうちどれが強いかは、疲れを感じる場所とタイミングで見当がつきます。寒い日の外出のあとに確かめてみてください。
いつ、どこが重いか
| 疲れ方 | 考えられる原因 |
|---|---|
| 帰宅後に首・肩・背中の上が重い | ①縮こまる姿勢で固まる |
| 朝の通勤で脚が重く、昼には楽になる | ②冷えた筋肉のまま動き出す |
| コートを着て歩くとすぐ疲れる・肩が重い | ③着込んだ服が動きを止める |
| 一日中なんとなくだるく、外出も減った | 活動量の低下(後述) |
自分で確かめる3つの方法
- 帰宅直後に鏡を見る:コートを脱ぐ前に、正面から肩の高さを見ます。耳と肩の距離が普段より近ければ、まだ身構えが残っています
- 朝と昼で同じ階段を比べる:駅や職場の同じ階段を、朝と昼に上ってみます。朝だけ明らかに重いなら、冷えたまま動き出している影響が大きいです
- コートを着たまま腕を回す:いつものコートを着て、両腕を大きく前から上へ上げます。脱いだときより上がらなければ、歩くたびに服の抵抗を受けています
どれも体力ではなく、寒さへの身体の反応と服装の条件を見ています。条件が原因なら、鍛えるより先に外出の仕方を変えるほうが早く楽になります。
理学療法士の視点|冷えと筋肉
ここからは身体の仕組みの側から、寒さで疲れやすくなる理由を3つ補足します。
筋肉は冷えると出せる力が落ちます
筋肉の中では、細いたんぱく質の線維が互いに滑り込むことで力が生まれます。この反応は化学反応なので、温度の影響を受けます。筋肉の温度が下がると反応が遅くなり、神経から筋肉へ信号が伝わる速さも落ちます。
筋肉の温度が1℃下がるごとに、瞬発的に出せる力が数%ずつ落ちるという報告があります。冬の朝の脚は、夏の朝の脚より出せる力が少ない状態です。同じ階段を上るのに、一段ごとにより多くの筋線維を動員しなければならないので、そのぶん疲れが早く来ます。
身構えの姿勢は首と肩甲骨に集まります
肩をすくめる動きは、主に僧帽筋上部(そうぼうきんじょうぶ・首の付け根から肩先へ広がる筋肉)と肩甲挙筋(けんこうきょきん・首の横から肩甲骨を吊り上げる筋肉)が担います。どちらも肩甲骨を上へ引き上げる筋肉です。
腕を体に寄せる姿勢では、胸の前の筋肉も縮んだまま固まり、肩甲骨は前へ引き出されます。背中を丸めると、頭は体より前に出ます。頭の重さは体重の1割弱あり、前に出るほど首の後ろの筋肉が引っ張られます。寒さに身構えた姿勢は、首と肩甲骨のまわりに負担を集める形になっています。
この姿勢は寒さが去っても自分では気づきにくく、暖かい室内でも残ります。肩に力が入ったまま抜けない感覚がある方は、体の力が抜けない原因もあわせてご覧ください。
足先の重さは何倍にも効きます
冬は靴も重くなりがちです。同じ1kgでも、胴体に背負うより足先に着けたほうが、歩くときの負担ははるかに大きくなります。脚は一歩ごとに前へ振り出されるため、先端が重いほど振り出す力が多く要るからです。
振り出しを担うのは、腸腰筋(ちょうようきん・太ももを持ち上げる、お腹の奥の筋肉)と太ももの前の筋肉です。冬に厚底のブーツで出かけた日に、脚の付け根が疲れる方はこの影響が考えられます。歩くと疲れる原因に心当たりのある方は、冬はその疲れが重なりやすくなります。
放っておくとどうなるか
寒い日の疲れが続くと、外に出ること自体が億劫になります。週末の外出を控え、駅まで歩いていた道を車やバスに替える。冬の間に一日の歩く量が大きく減る方は少なくありません。
動く量が減ると、筋肉は使われない状態に慣れていきます。春になって動こうとしたときに、少し歩いただけで疲れる身体になっています。寒さで疲れているのか、動かなさすぎで疲れているのかは、対処が逆になります。迷ったときは、疲れてる時は運動すべきかの見極め方で確かめてください。
寝室が寒い場合は、布団の中でも身構えが続きます。寝ている間に体を丸めたまま寝返りが減り、朝から首や背中が重い、という形で疲れが持ち越されます。寝つきや夜中の目覚めが気になる方は、睡眠の質を上げる運動も参考になります。
寒い日の疲れを減らす工夫
ここまでの内容から、打てる手は4つに整理できます。どれも特別な道具を使わず、明日の朝から試せるものです。
1. 外に出る前に室内で2分動く
寒い日は「外で歩いているうちに温まる」と考えがちです。ただ、それでは冷えた筋肉で最初の大きな動作をこなすことになります。順番を逆にして、玄関を出る前に室内で筋肉の温度を上げておきます。
- その場で足踏み:膝を腰の高さ近くまで上げて30秒
- かかとの上げ下ろし:壁に手を添えて20回
- 肩甲骨を寄せて下げる:両肘を後ろへ引き、肩を下げたまま5秒止めるのを5回
合わせて2分ほどです。少し体が温かく感じれば十分で、汗をかくほど行う必要はありません。
2. 首・手首・足首を覆う
首・手首・足首は、皮膚のすぐ下を血管が通り、熱が逃げやすい場所です。ここが冷たい風に当たると、体は寒さを強く感じて身構えます。マフラー、手袋、くるぶしまで覆う靴下でこの3か所を守ると、肩をすくめずに歩きやすくなります。
コートを1枚厚くするより、3か所を覆うほうが身構えは減ります。服を重くせずに済むので、③の着込みの負担も同時に抑えられます。
3. 厚い1枚より薄い重ね着にする
重いコート1枚より、薄手の服を重ねるほうが動きを邪魔しません。選ぶときは、着たまま腕を前から上げられるか、大股で一歩踏み出せるかを確かめてください。肩と脚の付け根が動けば、歩くときの腕振りと歩幅が保てます。
靴は、冬でもできるだけ軽いものを選びます。長い距離を歩く日は、厚底のブーツより軽い防寒シューズのほうが脚の付け根の疲れが少なくなります。
4. 室内に入ったら肩を下ろす
建物に入ったら、まず一度だけ肩を耳に近づけるように持ち上げ、ストンと落とします。力を入れてから抜くと、入っていた力に気づきやすくなります。駅の改札を通ったとき、職場の席に着いたときなど、決まった場所で行うと習慣になります。
セルフケアで届きにくいところ
工夫を続けても、疲れが変わらない方がいらっしゃいます。肩甲骨のまわりが硬く、肩を下ろそうとしても下がりきらない。胸の前の筋肉が縮んだままで、背中を伸ばしても丸い姿勢に戻ってしまう。この場合、意識だけで姿勢を変えるのは難しくなります。
もうひとつは、冬の間に落ちた筋力が原因になっているケースです。脚の筋力が落ちていると、少し冷えただけで動作の余裕がなくなります。浦和でパーソナルトレーニングを受けられるLIMITED浦和店では、肩甲骨の動きと脚の筋力を実際に確かめてから、どちらから進めるかを決めます。
受診をおすすめするサイン
寒い日の疲れの多くは身体の使い方と環境で説明がつきますが、次のような症状があるときは、先に医療機関を受診してください。
- 寒い場所に出たときに、胸が締めつけられる・胸が痛む(すぐに受診してください)
- 手や足の指が白や紫に変わり、しびれや痛みを伴う
- 以前より極端に寒がりになり、むくみや体重の増加、強いだるさがある
- 少し動いただけで息切れや動悸がする、顔色が悪いと言われる
- 毎年冬になると気分が落ち込み、眠っても眠っても疲れが抜けない
胸の症状は循環器内科、そのほかは内科が最初の窓口になります。当店は医療機関ではありませんので、診断や治療は行えません。受診して異常が見つからなかった場合は、検査で異常なしと言われた疲れの考え方が参考になります。
LIMITED浦和店での進め方
当店では、国家資格を持つ理学療法士兼パーソナルトレーナーが最初から最後まで直接担当します。監修者が別にいて指導は別の人、という形は取っていません。
寒くなると疲れるというご相談では、まず普段の立ち姿勢と、肩甲骨を下げる・寄せる動きを確認します。肩をすくめる筋肉が休めているか、胸の前が縮んでいないか。あわせて、立ち上がりや足踏みで脚の筋力の余裕を見ます。
そのうえで、硬くなった肩甲骨や胸のまわりは整体で動く範囲を戻し、肩を下げて保つ筋肉と脚の筋肉を使う運動を入れていきます。動く範囲を戻すだけでは、寒い日の外出で元の身構えに戻るためです。キツい筋トレは行わず、軽い運動が中心です。
寒い朝の家事で背中が張る方は、家事で疲れる原因も参考にしてください。冬は作業前に体を温める時間が短くなりがちで、同じ家事でも疲れ方が変わります。
よくある質問
寒い日は運動を休んだほうがいいですか?
寒さだけを理由に休む必要はありません。ただ、冷えた筋肉でいきなり強く動くと疲れやすく、思うように力も出ません。運動する日は、室内で体を温めてから始め、普段より準備運動を長めに取ってください。胸の痛みや強い息切れがある方は、運動の前に医療機関を受診してください。
お風呂で温まれば疲れは取れますか?
体が温まると筋肉の緊張がゆるみやすくなるので、身構えて固まった首や肩には役立ちます。ただ、翌朝また冷えた状態で外に出れば、同じ身構えが繰り返されます。入浴は一日の疲れを抜く手段として使い、外出前に室内で動く、首や手首を覆うといった、疲れを作らない工夫と組み合わせてください。
厚着をすれば疲れにくくなりますか?
寒さによる身構えは減りますが、服が重く動きにくくなると、今度は歩くときの負担が増えます。重いコートを1枚着るより、薄手の服を重ね、首・手首・足首を覆うほうが疲れにくくなります。着たまま腕を前から上げられるか、大股で踏み出せるかを目安に選んでください。
まとめ
寒いと疲れる理由は、体温を作るエネルギーだけではありません。縮こまる姿勢で首と肩甲骨のまわりが固まること、冷えた筋肉のまま朝の大きな動作をこなすこと、着込んだ服が関節の動きを邪魔することの3つが重なっています。打てる手は、外に出る前に室内で2分動くこと、首・手首・足首を覆うこと、薄い重ね着と軽い靴を選ぶこと、室内に入ったら肩を下ろすことの4つです。
肩が下がりきらない、冬の間に脚の筋力が落ちたといった場合は、身体の側を整える必要があります。浦和のパーソナルジムLIMITED浦和店では、姿勢と動きを実際に見てから進め方を決めます。本格的に寒くなる前に、体験トレーニングで身体の状態を確かめてみてください。
雨の日に体が重くなる方は、雨の日にだるいのはなぜか|傘と歩き方の負担もあわせてご覧ください。
体験トレーニングのご案内
LIMITED浦和店では、国家資格を持つ理学療法士があなたの身体を直接評価し、整体とトレーニングを組み合わせて不調の根本改善をサポートします。JR浦和駅から徒歩5分・専用駐車場あり。運動が苦手な方も歓迎です。
▶ 体験トレーニングを予約する
お電話でのお問い合わせ:080-1216-7723(営業 9:00〜21:00・不定休)
※体験にお越しいただいても、無理にご契約いただくことはありません。
この記事の執筆・監修者
本記事は、LIMITED総代表の飯塚勇人(理学療法士/株式会社ゼノフィット)が
執筆・監修しています。
- 氏名:飯塚勇人(いいづか はやと)
- 資格:理学療法士(国家資格)
- 役職:LIMITED総代表
- 所属:株式会社ゼノフィット

